再掲

 刑法第39条1項には、「心神喪失者の行為は、罰しない。」と規定されている。前田雅英先生の『刑法総論講義』には、「心神喪失とは精神の障害により事物(事理)の是非・善悪を弁別する能力、ないしそれに従って行動する能力を欠くこととされている。」と書いてある。ついでだから伊藤真先生(伊藤塾塾長)の試験対策講座『刑法総論』からも引用すると、「心神喪失とは、精神の障害により、①弁識能力を欠く場合、または、②行動制御能力を欠く場合をいう。そして、どちらか一方の能力を欠く心神喪失者の行為は罰せられない。」と書かれてある。
 これを無理矢理に司法試験受験生にあてはめるとすると、妥当な勉強法を弁別する能力、または、その勉強法に従って勉強を継続する能力が欠けているような受験生は「司法試験における心神喪失者(程度によっては心神耗弱者)」ともいってよいだろう。したがって、そういう受験生に対しては道義的非難をむけることはできないことになる。w